「パラレル家族計画」読みました

 はむばね先生の小説「パラレル家族計画」を読みました。
 なので、内容の浅い感想文を書きますよ!
 まず、この時点で驚くべきだと思うんですけれども、どんなに少なく見積もっても、私がライトノベルというものを読破したのは、過去5年間に一度も有り得なかったことでしてね…。本当です。
 その、まず、「私が読破した」という段階で、この小説が如何に優れているかおわかりいただけると思います。
 そもそも私は、「わけのわからない設定の世界」とか、そういったものは本当に苦手でしてね。「剣と魔法のファンタジー」とか言われても「ゲームならいいけど…」とか思ってしまい、自ら能動的に義務感無しにそういった物語を読む、ということはあり得ない、と思っておりました。今でも思っている風があります。
 名前は出しませんけれども、有名ライトノベル作家さんの作品も、思う存分積ん読しているところですからね…。とにかく、今回読み終えた、というだけで、私としては大ニュースです。
 では、なぜ読み終えることができたのか。
 この物語の設定が荒唐無稽なものでは無かった、という、その一点に尽きると思います。
 しかしながら、設定が荒唐無稽なものではない、ということは「王道」の物語ということであります。悪く言えば「よくある展開」という事になりましょう。
 この作品を読んでみると、王道、というかむしろ、まさに基本中の基本を丹念に丁寧に幾重にも幾重にも積み重ねている、という、そんな印象を強く受けるのです。だから、読んでいて非常に安心感のある展開で、次に何が来るだろう、どういうことが起きるのだろうか、ということがある程度予測でき、それが物語の展開と合致し、そしてわずかに裏切られる。この読み手の心の上手いところを突っつく展開こそが、はむばね先生の作品の持ち味なのでしょう。
 いわゆる「よくある展開の物語」、言い換えると「型にはまっている物語」というのは制作するのに本当に難しいものですけれども、作者が上手いところ物語をリードしてくれるので、心地よく、最後まで読むことができました。テレビの(極限までパターン化された)時代劇で言うところの、「20時45分過ぎにちゃんと印籠がでてきます」というような、そんな、強烈な安心感がありますよね。
 私としては、「プロは、小説をこうやって書くものなんだ」という、そんなひとつの技術的要素を垣間見たような、そんな気持ちになりました。
 物語を読んでいて、私がストーリーの波間で迷子にならなかったのも、やはり素晴らしい点であったろうと思います。
 それと、この物語は、ものすごくアドベンチャーゲーム的なシナリオとの親和性が高いよな、そんな気がしました。ここでルートの分岐に至るから、このへんにセーブポイントを…などといった工夫が可能で、別のヒロインエンドもあるかもしれませんね。そうですね、第2巻が出るとすれば…。
 今更ながらですけれども、シリーズ化にたいへん期待しています。でも、新しいのも読みたい。
 それと。
 今から15年くらい前に、某同人サークルの某ドラマCDのためにボケとツッコミが多数出てくる脚本を書いたことがあったのですが、最終稿で私の書いた部分が全部無かったことになっていて、その後その企画自体も無かったことになったので、私には「このツッコミはおしゃれだね」などと論評することは到底出来ません。ええ、出来ませんったら。
 面白かったです。