つくった曲が聴かれない

 最近思うんですけれどもね。
 「昔に比べると、無料で曲を聴いて欲しい制作者にとっては天国のような時代になった」との言説を見掛けます。
 概ねその通りだと思いますが、昔っていつくらいを指すのでしょうか…。1998年頃には、もう既に「mp3」が制作環境と聴取環境の両方においても充実していましたよね。当時のジオシティーズジャパンの容量が12MB程度でしたから、無理をすれば置けたはずです。1曲2曲くらいは。
 個人的には、その頃のほうが「新しもの好きの人が面白がって聴く」というケースが、多かったように思えます。

 今は、もう、ぐるりと一巡した感じがありましてね。
 音楽をこしらえて動画を作っても、まあ、聴かれることは「よっぽどのことがない限り」無いですかね…。つくづくそのように思えます。
 有名どころが聴かれるだけで、無名の人は聴かれもしない。そんな感じの世の中になってから何年経ちますかね…。
 それに伴って、ボーカロイドシリーズも「買えば誰でも曲が作れそう」な時代が去って、「玄人が義務感で買う」という感じの商品に成り下がりつつあるのではないかと危惧しています。
 わたしも、最初(ボーカロイドの無印「MEIKO」の頃)は、ものすごく楽しくいろいろ作っていましたが…。今はもう…。「ボーカロイド、いつの間にバージョンアップしてたの? まあ買わないけど」という感じです。

 これにはもちろん、わたしがとっくに色々枯れたというのもありますし、人生のボリュームゾーンを生きている人には、それなりにそれなりのよいことがあったりするのでしょう。それをよい時代と感じられればいいでしょう。
 しかし、ネット音楽関連の市場は成長期を過ぎたのかも知れませんね。今後、上手く成熟していくのでしょうか。あるいは、知らない間に衰退期に入ったのでしょうか。
 わかりませんが…。
 わたしは、「聴かれないから作らない」という悪循環を生きています。

 次回予定「書いた小説が読まれない」にもご期待ください。